記憶
美しい踊りが
くるくるとまなうらに軌跡を残して
水面(みなも)を波紋が伝わるように
やさしい層をつくりながら
ゆっくりと心の中に積もっていく
その模様は
頑張って思い出そうとするたびに
姿を変え
濃くなったり
薄くなったり
ある時は懐かしい写真のような白黒に
またある時は図鑑で見た
極楽鳥の羽根のような極彩色に
一度として同じように思い出せないのだ
その全ての模様が
私にとっての真実
そうして 降り積もったかけらが
頭の中で
ひそやかに光っている
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